図書館。

図書館に行きました、朝もはよから。目的はpostal code tripの方でもちょっと触れておりましたが、江戸幕府最後の箱館奉行・杉浦勝静について調べたいということ。新潮選書で「最後の箱館奉行の日記」という本が出ており、まさに杉浦勝静の生涯を追った内容になっている。これを図書館に借りに行ったのだ。読んでみると、これが面白い。樺太の領有をめぐってつばぜり合いをする箱館奉行所とロシア領事館。ロシアは我が物顔で樺太に兵を送り込み南下し、陣地を築こうとする。それに粘り強く抗議し抵抗する杉浦兵庫頭(杉浦勝静の別称)。写真を拝見すると生真面目かつ冷静な人物の面持ちだ。うーん、かっこいいなあ。
当時幕府は大政奉還の大混乱のさなかにあった。幕府は問題を先送りする弱腰の対応しか行わず、結果なし崩しにロシアの南進を許し、北海道までロシアに領有される危険さえあったのだ。それを防いだのが、この生真面目で粘り強く交渉を続けた杉浦兵庫頭の功績なのだ。
しかし、この本を読むと本当に幕末の日本は猛獣に囲まれた草食動物というか、米英露に好きなように食い尽くされ、いいように分断されてもおかしくない、史上空前の国難に直面していたのだと分かる。かつて清(=中国)やインドやその他アジア諸国がたどった運命が、日本にもふりかからんとしていたわけだ。尊皇攘夷だ、倒幕だ、公武合体だと、それこそ日本がなくなるかどうかという国難に対して、真剣に戦ったわけであるし、その結果、大政奉還王政復古の大号令のもと、天皇を中心とした大日本帝国が成立したわけである。よく考えたら明治維新というのは日本史上、非常に画期的な出来事だと言えるだろう。
幕府の内部、特に老中たちが尊皇攘夷論に対してどのように決断し行動していったのか、そしてどのような流れで大政奉還に至ったのか、そのプロセスに非常に興味がわいてきました。