パソコンなんて…

パソコンは自由な機械です。自分が使いたいソフトを入れれば、あんなことやこんなこともできるし、自分がつなぎたい機械をつなげば、これまたいろいろできる。いちおすべてのソフトや機器はWindowsで動く前提で作られている。けれどもそれぞれのメーカーは、自社の製品の動作確認はしても、他社製品との相性については確認をしない。なぜって、それはこの世にソフトウェアもハードウェアも無数にあり、その組み合わせたるや無限にあるのだから。そんなもの動作確認していたらきりがないのだ。
だからパソコンメーカーとて、パソコン上で起きうるトラブルのすべてを把握できるわけがない。パソコンの状態からパソコンが今なにをしていると思われるか、ということ、現状どのような状態か、ということを言うことはできるが、どうしてそうなったのかなんて、突き止めることはできない。そこからどうしてもらうかはお客様の判断と責任で決めてもらうしかないのだ。
パソコンを買う人には、トラブルが怖いなら何もしないでください、と言いたい。ウィルスが怖いならインターネットにつないだりメディアを入れたりしないでください。トラブルが怖いなら、ソフトウェアを追加したりハードウェアを追加したりしないでください。フリーズが怖いならWindowsを起動しないでください。それでもなにかしたいなら、トラブルは起きるものと言う前提で使い、常にメンテナンスとバックアップをする覚悟でお使いください。いつでもリカバリして復旧ができる覚悟で使ってください。
昨日の客にはほんとぶち切れました。お前んとこのパソコンで起きたトラブルはすべて責任取れ?そんなこと、できるわけがない。5時間無駄にした、仕事ができなかった分を保証しろ?あんたの要領が悪いだけじゃん、バカじゃねーの?
電話をかけてくるお客様で一番いやなのが「普通に使ってただけなんですけど…」と言ってくるやつだ。はっきり言おう。パソコンに「普通」の使い方なんてない。パソコンはなんでもできる機械だ。なんでもできるから、個人個人、使用環境は異なる。だから「パーソナル」コンピュータと言うんだ。それなのにお客様は「普通に使っていた!なのになんでトラブルが起きるんだ!」と言う。一人一人使用環境が異なるのに、なんでトラブルが起きるのかなんて分かるわけがない。分かるのはお客様だけなのだ。なのに「なんとかしろ!」とおっしゃる。リカバリしてください、と言うとデータは消したくない、と言う。なら知らねーよ、である。そうすると無責任だ!と言う。堂々巡りである。
私の仕事はユーザーサポートである。私にできるのはお客様をサポートすることだけで、パソコンを直すことではない。トラブルに対して改善策を提案するのが仕事で、実際に改善をするのはお客様なのだ。私にできるのはそれをサポートすることだけだ。
みんなパソコンという機械を甘く見すぎている。家電製品ではないのだ、ボタンをピッと押せばいつも同じように動くものと思っていてはダメ。ソフトウェアという生ものを扱っているのだ、自由に変更が利き、いろんな機能が使える利便性と引き換えに、それがトラブルの原因となりうる2面性を持っているのだ。みんなパソコンという機械に期待しすぎている。パソコンなんてまともに動くほうが摩訶不思議な機械なのだ。そこんとこ、分かってないで使ってる人が今日も電話をかけてくる。「普通に使っていただけなのに!」あなたが個人的な理由で病気になるように、パソコンも個人的な、パーソナルな理由でトラブルを起こすのです。みんなそのことを分かって、覚悟をしてパソコンを使ってください。週に1度はバックアップ、月に1度はメンテナンス、リカバリはいつでもする覚悟で。よろしくたのんますよ、ほんと。