朝日新聞歌壇
6/8の歌壇から。
- 山里の伐採されし桃畑のキリカブ、キリカブ、キリカブに雨 福島市 美原凍子
- 金魚の子威厳を持ちて産まれ出るまつ毛のようにピッと反りたり 青森県 向山敦子
- 高々と白きシーツを干したのは障害のなかった五月晴れの日 神戸市 田中きくこ
- うどん屋に冷し中華ののぼり出て 峡は一村さみどりのなか ひたちなか市 篠原克彦
- 折々の母をうたいしわが歌を形見となして母は逝きたり 栃木市 飯塚哲夫
- 幼日の吾がまだいる軍艦島に廃墟廃墟と人らふみこむ 諫早市 田崎信子
- <病院へ出かけています>独り居の卓に置くメモ誰へともなし 川越市市 橋本 峯
- てぐすごと若葉楓に絡みたる一点の朱の浮子と引きあふ 東大和市 板坂壽一
- 人住まぬ車庫に垂れをる鎖なり月夜の門の鈍きひかりは 仙台市 相澤豊子