ダンス・ダンス・ダンス

上巻を読了。ダ・ヴィンチ村上春樹特集でYO-KING兄さんがインタビューされてて。一番すきなのは「ダンス・ダンス・ダンス。ロックじゃないですか」とコメントしていたので読み始めた。ほんとうにYO-KING色に染まってきてるな、おれ(^^;
村上春樹を読むといつも感じるのが「喪失感」という感情だ。何かを失った、何も得ていない、何とも繋がっていない。そういう感情。あるいは何かを奪われた。現実感のなさ。自分が「かけがえのない存在」でないと感じること。高度資本主義社会。高度資本主義社会は、全てのものを交換可能な価値(=貨幣)にしてしまった。人間自身もその限りではない。どんなものでも、他のものに換えることが出来る。交換可能でないものなんて存在しない。「かけがえのない存在」なんていう概念に意味は無くなった。そんなものは幻想だ。なんでも取り換えが利くのだ。
とても理解できる。共感できる。主人公はダンスを踊る。再び世界と自分が繋がるために、彼は立ち止まってはいけないのだ。その踊りの果てに彼がどんな再生を迎えるのか。その結論はおれにとっても「救い」になるような気がする。
心の底で「結局全てを喪ったとしてもきっと困らない」「この世界に絶対失いたくない大事なものなんて持っていない」と思っている、このおれにとって。
下巻が楽しみだ。