京都 冷泉家の八百年〜和歌の心を守り伝えて〜

NHKスペシャル。見ました?これ。めっちゃよかったですわー。冷泉家といえば藤原俊成・定家を祖に持つ「和歌の家」。藤原定家といえば新古今和歌集、小倉百人一首の選者として有名です。12世紀、平安末期から鎌倉時代を生きた人ですね。ちょうど時代は平安時代の終わり。貴族の政治が終わって武士の政治が始まろうという時代でした。
で、この冷泉家が、800年のときを超えて、いまに平安の文化、和歌の文化を伝えている。それを紹介する番組でした。
平安時代というのは、日本が中国からの借り物の文化ではなく、ようやく「日本独自の文化」が生まれてきた時代でした。日本独自の文化。それは四季を敏感に感じ取り、男女の心の機微を詠み、自然に親しむ、そういう文化です。つまり和歌というのは、ほんとうに「日本人のルーツ」なんですなあ。
冷泉家では一年の間にさまざまな行事が行われるんですが、これはみな宮中行事を模したもの。で、これらはみな、私たちが毎年行う行事のルーツでもあるんです。
正月に松を飾るのは常緑樹である松の生命力にあやかったもの。これが門松の由来になっている。節分に自分の歳より一つ多い豆を食べるのも、豆の生命力にあやかったもの。疫病、飢饉、戦乱の時代であった藤原定家の生きた時代。生き延びたいという祈りはかくもけなげだったのだなあと思います。
なるほど、生き延びるのに苦労しない今の時代、人は祈ることを忘れているのかもしれない。和歌とは祈りの言葉でもある。夏に冷泉家で行われる「夏越の祓」という行事。疫病から免れ、夏を越すことが出来るよう神に祈る行事で詠まれる歌。「水無月の夏越の祓する人は 千歳の命延ぶというなり」
七夕の歌会「乞巧奠(きっこうてん)」という行事。これ、日本人のセンスのロマンチックさをほんと感じさせますね。和歌を星に手向けるだなんて、ねえ。星を水に映す角盥(つのだらい)。これに梶の葉を浮かべる。梶の葉は船の「舵」と通じ、織姫に会うために天の川を漕ぎ渡る彦星に捧げられる…うっわ、ロマンチック〜。こういうことを考えていた昔の日本人ってなんてロマンチックな人たちだったんだろうと思う。
あー、書いてるとキリがないです。7月15日AM0:15〜再放送するそうなので、ぜひ見てくださいな。おれもちゃんとビデオ撮ろう。うむ。