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「まだ誰の手垢もついていないもの」を探して

むかしむかし「ときめきメモリアル」というゲームがありました。それにすごい興味があったけれど、ぼくは当時すごい照れ屋の恥ずかしがり屋だったので、女の子にモテるゲームなんてとてもできなかった。

ときメモブームが起きると世の中そんなゲームばかりになり、だんだん自分も慣らされて女の子にモテるゲームがやりたくなるんだけど、すでにみんながやりまくってて手垢のつきまくった「ときめきメモリアル」はやりたくなかった。

その時、自分が毎週購読していたセガサターンの雑誌企画で登場したのがセンチメンタルグラフィティだ。まっさらの誰の手垢もついてないこのゲームの女の子たちに僕は飛びついて大ファンになった。読者企画に応募もしたし、画集も買ったし、ラジオも聴いた、アニメも見たしVHS(!)も全巻揃えた。…ゲームをやりこんだかは覚えていないが(何も聞かないでくれ)。

去年、ぼくはWake Up,Girlsというアイドルアニメの大ファンになり夢中になった。アニメも繰り返し見たしファンイベントも行った。感想や考察のツイートも山のようにつぶやいた。

Wake Up,Girlsをなぜ好きになったかと言えば、それはアニメのストーリーの出来の良さ、声優とアニメのアイドルの名前や生年月日を同じにするという虚実混交の仕掛けなどあげることはできるが、きっとそれはあとから出てきた理屈だと思う。

いちばんの理由は「まだ誰の手垢もついてなかったから」。センチメンタル・グラフィティのときと同じだ。

アイドルアニメといえば絶大な人気とたくさんのファンを擁しているのがアイドルマスターだ。テレビアニメ、劇場版、そしてライブの成功で、アイドルマスターはもうすでにたくさんの人に愛されていた。自分もアイマスは好きだったし、天海春香ちゃんかわいいなあと春香ファンを自認もしていたけれど、でもアイマスにはすでに多くの偉大なる先人がいすぎた。それじゃつまらなかったのだ。

そこへWake Up,Girlsという新しいアイドルアニメが現れた。声優はまったくの新人。監督はこの作品で再帰を期す山本寛。制作態勢は整わず作画は不安定で女の子がかわいくないと不評… 逆風であればあるほど、自分にとってWake Up,Girlsはオンリーワンの作品だと思えた。でもそれは「まだ誰の手垢もついてないものが欲しい」という気持ちを追認するだけのものだった。この気持はセンチメンタルグラフィティの時と…約20年前のあの時と変わらないものだったのだ。

自分はアイドルファンでもあり、いまは2つくらいのアイドルグループをかけもちで推していて、ときどき現場(ライブやイベントのことを現場って呼ぶ。アイドルファンならではだよね)へも行く。アイドルも、ある程度のレベルまで人気があがってファンが増えてくると、そっと去って行く古参というのがいる。彼らもまた「まだ誰の手垢もついていないものが欲しい」のだ。みんなのものになった時点で自分の役目は終わり、他の人達の手に託して、また「まだ誰の手垢もついていないもの」を探しに行く。

この気持ちはなんなんだろうなあっていつも思う。ただの食い散らかし?○○はわしが育てたって言いたいだけ?独占欲が強いってこと?なんとなく、どれでもない気がしている。けれど明確な答えはまだ自分の中で出ていない。