朝日新聞歌壇
今日も興味ふかい短歌を拾いあげ。
- 寝たきりでこの世の果てを草枕 旅ゆく今日も机に向かう 神戸市 寺嶋龍子
- 室見川で白魚供養の経読みて 白魚づくしの接待受けし 三原市 岡田独甫
- ペットショップの小犬尾をふり買われゆく「天地無用」のダンボール箱 生駒市 内藤幸雄
- ララ物資ならぬ支援のジー・パンのウエスト58が入りぬ ホームレス 公田耕一
- 音楽のまえには誰か弾いている ねこふんじゃったねこふんじゃった 神戸市 寺内みのり
- もう二年ばれいしょ植えず荒れたまま 古戦場へともどりゆく畑 浜松市 松井 恵
- 満ち足らぬ検査食だけの一日(ひとひ)過ぎ きれいな腸を見せに行く朝 西宮市 谷口 澄
- 木や苔の深きに街の音は消え 時は止まれる大観の画室 吹田市 豊 英二
- ヘルパーの帰りし後の固い蛇口 両手で開けてひとりの米研ぐ 武蔵野市 佐野三郎