『小倉庫次侍従日記』 昭和天皇 戦時下の肉声

読んでます。とても興味深い。

  • 天皇が日独伊三国軍事同盟にかなり慎重だったこと(特に独ソ関係の情勢をよく見極めるよう、と言っていた)
  • 支那事変日中戦争)について軍部が支那を見くびって泥沼化したことを悔いていたこと
  • 軍部の仏領インドシナへの進駐を含め南進政策について、いたずらに戦線を広げることを憂慮していたこと
  • 「英米との敵対に日本の国力が堪えうるのか、あと10年は国力を増強する必要がある」と考えていたこと

いずれを見ても天皇の方がよく大局を見通していたことが記されている。そして天皇の統帥権が徐々に形骸化し軍部の独走がうかがわれる様子がリアルに描かれていて恐ろしい。
それとは別に天皇が皇太子(=現天皇)を手元で育てること、学習院初等科にて他の子供同様に育てるようにと天皇が指示しているのも面白い。結局は青山御所にて養育となり、手元で育てることは叶わないのだけれど、天皇は宮中の現代化にも進歩的な考えを持っていたのだなと。また皇后とたびたび「ご衝突」なされている様子(ま、夫婦喧嘩やね)なんかも書かれているのも面白い。
昭和16年まで読み進み、これからいよいよ日本軍は敗退の一途、戦線は縮小をたどる…皇居にも防空壕を掘り始まりと時局は悪化していきます。