ルポ貧困大国アメリカ/堤 未果

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

読了しました。アメリカに引き続き興味があって手に取りました。
アメリカの原理主義 (集英社新書)

アメリカの原理主義 (集英社新書)

「民族」で読むアメリカ (講談社現代新書)

「民族」で読むアメリカ (講談社現代新書)

いままでこれら含め読んできて思うことは、アメリカという国は移民というマンパワーの蓄積で興隆し、様々な摩擦を経ながら、人類史上初めて地球規模の多様性を持った社会を構築してきた国家であるということです。ですがそれゆえにアメリカは、地球上にある様々な格差の縮図でもある。
「ルポ貧困大陸アメリカ」を読むと、アメリカという国は移民によって「貧困層の輸入」し、新自由主義政策(小さな政府…民営化)によって「輸入された貧困層の選別」を行い、選別された貧困層の人間をいかに合法的に棄民するか、あるいは戦争に送るか、という社会になっている。
これはまるで合法的な帝国主義ではないか?かつて外部に植民地を建設し、現地人を搾取していた方式を、移民という形で国内に取り込んでいるだけに過ぎない気がする。しかし移民というのは移民であるとはいえアメリカ国民である。しかし、ここでの国民という概念と、私たち日本人が日本人を国民だと考えるとは違うような気がする。アメリカという国家は人種も民族も習慣も違う他人たちの集合なのだ。移民とは国を捨てた人たちの集まり…国を捨てた人たちが集まって国の形をなしているだけ…?
すくなくとも言えるのは、よく「アメリカではどーのこーの、だが日本では…」という物言いをするが、もうその言葉は信用できないということである。アメリカは新自由主義政策によって、医療も教育もとことん民営化され、国民の生命や幸福より、国家の効率のみが優先される国になっている。その中で多くの中流階級が貧困層に転落し、貧困層は国内難民となりまたイラク戦争へ行くことになり…。
アメリカ人の皆さん。アメリカ人にとってアメリカってどんな国ですか?アメリカっていい国だと思いますか?