7/5-6に富士山に登ってきました

登ってきましたよー、富士山。今回は装備を整えるのに割とお金を使いましたね、誰かの役に立つかもしれないので、持っていったものを書いておきましょう。

  1. 防寒着(昔買ったユニクロの裏フリース表ナイロン時のフルジップアップ)
  2. レインウェア(上下セパレート1万円くらいのもの。モンベルのものでセールだったものを買いました)
  3. 水1Lとスポーツドリンク1.5L(普通のペットボトルはかさばるのでコンビニで売っているミディサイズのものを買いました。形が詰めやすくて便利でした)
  4. ヘッドライト(LED3個のもの。これでもかなり明るかったし正直あまり要らなかった。まわりがみんなしていて明るいので)
  5. ウィダーインゼリー2個(これは3個あってもよかった。途中休憩で摂ると元気でます)
  6. チョコレート、種無し干し梅(当分と塩分補給に)
  7. カメラ(いっぱい撮ってきましたよー)
  8. 携帯電話(自分のはソフトバンクでしたが山頂以外はあまり電波は入りませんでした。ドコモとauは割と入るようです)

こんなとこかな。あと山小屋はお風呂入れないので使い捨てのボディシート(汗拭くやつね)、耳栓(雑魚寝状態なので集中して眠るのに必須)が便利でしたね。
当日は晴れ。新宿から河口湖口5合目までバスで向かいます。中央高速に乗るまでが混んでいましたけど、そのあとはスムーズ。スバルラインもまだがらがらでしたが、これから7月後半、8月はマイカー規制がかかります。5合目に付き、コインロッカーに下山後の着替えを置いて5合目のレストハウス「雲上閣」でお昼。朝食べていなかったのでおなかがすいています.おそばと焼きおにぎりのセットを食べました。

時簡になったので集合場所へ。登山ガイドさんの説明を受け、準備体操。登山ガイドはササガワさんというベテラン風の方。痩せ型だけれどがっちりした肩、黒く焼けた肌です。あ、日焼け止めも塗りました。富士山は日本で一番紫外線が強いところですからね〜。
昼1時過ぎでしたでしょうか、いざ出発。6合目まではゆるく登って下る感じの道。トイレがありますのでここでいったん休憩。トイレはカンパ制で1回100円です。今回のツアーは登山ガイド付き山小屋1泊という楽なツアーのため、やっぱり参加者は初心者が多い。ササガワさんは「無理に6時間かけて登ります」と。高山病対策ですね。かくいうむそーも少し頭がずきずきしてきて、いわゆる頭痛のときの痛みとは違う、高山病の症状でした。高山病対策には深呼吸が大事とのことで、特に肺を空にする気持ちで吐き切って吸うのがコツとのことでした。むそーも頭が痛くなるたびにスーハーしまくってました。携帯酸素については個人的にいらないかな、と思いました。山小屋にも売っているので辛かったら買う、くらいでいいと思います。
7合目まではジグザグに広めの登山道を歩いていきます。ここまでの間で遅れる年配のご婦人がいたりして、ペースを調整しながら登ります。長めの休憩を取ったり…初心者が多いツアーだと参加者の体力差があるのでここらへん、登山ガイドさんが大変なところですね。基本登山ガイドさんより先に行ってはいけない、ということで登っているので、体力がある人はいらいらするかもしれません。でも初めて不安な自分としては、どのくらいが適切なペースか分からないところもあるので、ゆっくりすぎてもペースを作ってくれる方が安心でした。結局年配のご婦人は自分の荷物をササガワさんに持ってもらい歩き続けました。ササガワさんは自分の荷物+ご婦人の荷物をもって登っている。さすがじゃーと思いました。

7合目トモエ館にて休憩。年配のご婦人と初老の男性がここでリタイア。7合目の山小屋で泊まることになりました。山小屋のご主人が手厳しく「自分の荷物持てないようじゃこの先は行けないよ」と言います。ツアーの添乗員さんや登山ガイドさんは「あなたはもう無理です」と直接は言いにくいところですけど、そこを山小屋のご主人がうまくフォローしています。富士山は登山が好き!という人以外、登山の素人も多く登る山で、かなり登山道も整備されていますけど、やはり日本一の山ですからね、山が厳しいのは当然なのだ、ということを山小屋のご主人は伝えてくれているようです。

ここからは岩場が始まります。7合目から8合目まで続くこの岩場が一番きついところでしょうか。高山病も頭痛と深呼吸を繰り返しています。深呼吸して頭痛がおさまってきたかな、空気の薄さに慣れてきたかな、と思い、また標高が上がると頭が痛くなってくるの繰り返し。でも他の症状はなく体力もまだあるので大丈夫。ゆっくり慎重に岩場を登ります。合間合間に山小屋があるのでそこで休憩を取りながら登ります。のどが乾いていなくても適度に水分を摂らないと高山病になります。スポーツドリンクはあと500ml余計に持っていってもよかったかもしれません。もちろん上でも買えるけれど1本500円になりますからね。この岩場のあいだにも2人脱落。2人は7合目山小屋に戻っていきました。ご夫婦で白い足袋を履いてのご参加。奥様の方が山に慣れている感じで、旦那さんの手を引いて登っているのが印象的でしたけれど。

8合目の岩場が終わることにはすでに夕焼けになっていました。あいだ一瞬雨がパラついた以外はずっと晴れて、夕焼けもとても綺麗でした。岩場が終わるとふたたびジグザグ道。まわりはすでに緑もなく赤茶けた岩と砂のみ。もうすっかり雲の上ですし、なんというか完全に別世界。地上にいると緑を見ないことはないですけど、森林限界の上、緑も生えない世界はまるで「あの世」な感じがしてきます。世界各地には死後の世界に行って帰ってくる神話が多いですけれど、死後の世界に行けるのだとしたら、そこはこんな感じなのだろうか、と思いました。それほど日本人にとっては緑=生命という観念が強いのだな、と感じました。


あたりも暗くなりつつある頃、ようやく本八合目トモエ館、今日の宿に到着。疲れた〜。かなり遅いペースであったことは確かでしょう。ビニールの靴袋を渡されて、部屋というか寝床に通されます。寝床は完全に雑魚寝状態。枕は一人に一つありますが、大きな掛け布団を二人で一枚共用するという感じ。とりあえず靴下を脱いで顔を拭いて、明日未明出発する前に着ていくものや持っていくものを準備して…としていたら、あっというまに夕食の時間。なんとなく中学生のころの合宿を思わせる感じ。こういうの大人になってからやるのもちょっと楽しい感じです。夕食はハンバーグカレーでした。おなかが空いていたのであっという間に平らげました。その間明日山頂出発の準備についてと、山頂登頂後、お鉢めぐりの参加希望がとられました。お鉢めぐりとは山頂の噴火口をぐるっとめぐるもので、日本最高地点の剣が峰にも登れます。もちろんむそーは参加!です。夕食後は明日の準備を最終確認したあとで眠りにつきました。耳栓をして寝たのですが、隣の若者グループがごちゃごちゃと話していて、またトイレに行くのだか通るときに脚を踏まれたりして、途切れ途切れの眠りとなりました。
2時頃まわりのざわめきで起床。昨日の夕食時に山小屋の人がご来光の時間帯、山頂はかなり寒いよ、着られるものは全部着た方がいい、と言われました。毎年寒さをナメて泣きを見る人がいるようです。むそーも半袖の上に長袖、さらに裏フリースのフルジップ、その上からレインウェアを着込みました。レインウェアが風よけとなってくれるはず。毛糸の帽子もかぶりその上にヘッドライトを着けて準備万全。出発前にトレイへ…のとっきに、どこかでヘッドライトを落としたようです(泣)。探しようにも夜の2時、辺りは真っ暗。とりあえず諦めて、山頂から下山したときに山小屋へもう一度寄るときに探してみることにしました。あーあ。ヘッドライトの出番のときになくしてしまうなんて。
さて、いよいよ山頂への登山開始です。それにしてもすごい人です。5合目から山頂目指して登ってきた人もいるので人の列がヘッドライトの光で、光の列になっています。それにすごい渋滞。うちのツアーは集合が遅かったせいか、山頂でご来光が見られるかギリギリな感じ。黙々と登っていきます。
その間にも北東の空が白み始めます。何ていうかその感じはすごいですね。単に夜は寝ていて、朝が明けるところを普段はしみじみ見ないだけではあるでしょうけど。でもなんか「世界が目を覚まし始める」感じ…世界の全て、すみずみ、誰にでも朝はやってくるという事実を改めて感じる、みたいな…

私の祖父が詠んだ短歌で「世に小さき 我の勤めの朝の道 天の光は降り注ぎ来る」という歌があります。ああ、そうなんだ、朝が来るということを、誰も独占することはできないのだ。金持ちがいて貧乏人がいて、アメリカ人がいて日本人がいて中国人がいて、いろんな人がいるけれども、誰にも平等に朝は来るのだ、誰からも日の光を、朝が来ることを奪えはしないのだなあ…。そう、ご来光を見るなんて、毎日毎日昇る太陽を単に富士山で、登り始めから登り切るところまでを見る、ただそれだけのことなのだけれども、逆にそれだけのことだからもう一度ちゃんと大事なことを気付き直す機会になるような気もします。
世の中の多くの感動は単なる気付き直しなのかもしれない。それは人間の小ささでもあるけれども、でも大きなものに向き合おうとする気持ちは、やっぱり美しいと思います。
さて、やっぱり山頂でのご来光は間に合わず。九合目を過ぎた登山道の山肌にへばりついてご来光を見ました。しかし、初めて登ってこんなに切れないご来光を見られて、ほんとラッキーだなあ。また見に来たいなあ。

さて、山頂まで最後のラストスパート、登り切ってしばし休憩。トイレに行っている人を待ちながら朝ご飯を食べます。朝ご飯は山小屋から渡されたお弁当。五目ご飯と甘納豆と小魚の甘露煮…なぜおかずが全て甘いものなんだろう。謎です。お鉢めぐり参加者がそろったのでお鉢めぐり出発です。これもまたよかった。1時間半くらいの行程なんですけど、天気がよくて3000m下の麓まで見えちゃうし、噴火口には雪がたくさん残っているし、剣が峰に立つことが出来たし。日本のテッペンを取って来たぞ!わはははは。でもなんか笑っちゃいますよね。日本にはここより高いところは存在しないのだぁ…と思うと。みんなおれの足の下かぁ、と思うと変に笑ってしまいます。


さて、お鉢めぐりも無事終わり下山です。うう、寂しい…次回来るときはもっとゆっくり山頂を味わいたいなあ。本八合目までくだり、山小屋へ立寄り。預けていたザックを引き上げました。ヘッドライトは探しても見つからなかったのですが、山小屋の人に聞いたら届けられていました!よかったー。買ったばかりでろくに使ってもいなかったのでもったいなかったもんね。途中の分岐まで登山ガイドさん先行で下山開始。分岐以降は各自のペースで下山、となりましたが、ツレがつま先が痛い、痛いと泣き言をいうもので彼のペースに合わせていたところ疲れました。ずーっとジグザグ道で砂利が深く、かかとから下ろすように歩いていくと砂利にのめりこむようになるので衝撃を吸収してくれる。足にあまり負担がかからず下りれると思うのだけどなあ。どうもかかとから足を下ろすのが出来ないようです。結局下山できたのは集合時間昼1時の30分前。慌てて着替えてお土産を買い、バスへ乗りました。
3時半には新宿に着きましたが、新宿は蒸し風呂のような暑さ。富士山とは別世界です。なんとなく「この世」に戻って来てしまったなあ…なんて感慨が。でも、死後の世界に行ってもドル世界の神話の多くが、世界再生の物語であるように、自分の中にもなにか再生されたような気持ちがある感じもしました。
とにかくよかった!富士山!また行きたいです!